ここでは特徴的な症例について、一部をご紹介いたします。
※手術の写真を掲載しておりますので、苦手な方はご注意ください。
小滝橋動物病院グループ全体の外科症例件数については、>こちらをご参照ください。
頸部椎間板ヘルニアに対し、PLDD(経皮的レーザー椎間板髄核減圧術)を実施した犬の症例
<椎間板ヘルニアとは>
背骨は、椎骨と呼ばれる骨が連なった構造をしており、椎骨と椎骨の間には椎間板と呼ばれるクッションのような組織があります。椎間板ヘルニアとは、椎間板が変性を起こして硬くなり、本来の位置から突出・逸脱して脊髄神経を圧迫する疾患です。神経が圧迫されると痛みや麻痺などの症状があらわれます。頸部や胸腰部で発生し、発生部位や重症度によって症状や治療法が異なります。
正常な脊椎の模式図
◯主な症状
・頸部椎間板ヘルニア(首): 首を上げたがらない、歩き方がおかしい、抱き上げると鳴く、前肢・後肢の麻痺など
・胸腰部椎間板ヘルニア(背中〜腰): 歩き方がおかしい、後肢の麻痺、排尿障害など
◯治療
症状の程度や画像検査所見により、内科治療から外科治療まで幅広い選択肢があります。
内科治療: 鎮痛、消炎、安静など
外科治療: 椎弓切除術、PLDD (経皮的レーザー椎間板髄核減圧術)など
< PLDD :Percutaneous Laser Disc Decompression とは >
椎間板内(主に髄核)にレーザーファイバーを経皮的に挿入し、レーザー照射によって髄核組織を蒸散させる治療法です。髄核が蒸散することで椎間板の一部が空洞化し、神経の圧迫が軽減されます。
椎間板ヘルニアによる疼痛や、ふらつきなどの症状に対して有効な治療です。麻痺がない軽度のヘルニアに対して適応されます。
他の外科治療と比較的して低侵襲であり、短い麻酔時間で複数の椎間板に対して実施することも可能です。
<症例>
チワワ 10歳齢 去勢雄
2〜3時間毎にギャンと鳴いて固まって動かなくなること、頭を下に向けて歩くことを主訴に来院されました。
初診時所見:
頸部筋の緊張を認め、明らかな歩行障害や麻痺は認められませんでした。
画像検査所見:
MRI検査において頸椎(C2–C7)に椎間板の突出による軽度〜中等度の脊髄圧迫所見を認め、多発性椎間板ヘルニアと診断しました。
治療方針:
椎間板物質による神経圧迫が比較的軽度であったことから、低侵襲な治療が望ましいと判断し、PLDDを実施する方針としました。
手術および術後経過:
全身麻酔下で頸部PLDDを5箇所に実施しました。術後14日以内に頸部の疼痛徴候は明らかに軽減し、頸部筋の緊張改善が認められました。
PLDD実施中の透視X線画像
PLDDは、ヒト医学領域では日帰りで行われる椎間板ヘルニアの治療として知られています。犬に対しても同様の治療が適応可能であることが報告されており、小滝橋動物病院グループでは2019年に本治療を導入しました。
椎間板ヘルニアの治療において大切なことは、病変部位や重症度を正確に評価し、症例ごとに最適な治療法を選択することです。外科治療を検討する際には、MRI検査または脊髄造影CT検査を実施し、画像診断に基づいて治療方針を決定します。
治療に関して是非お気軽にご相談ください。
文責:獣医師
佐藤
本駒込動物動物病院
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(豊島区・北区、駒込駅・千石駅近く)